医療法人の認可について質問があります。

Q.私は都内で数年前から内科クリニックを経営する医師です。経営状況は良く、ありがたいことに患者数は順調に増えています。個人所得に関してはクリニック開設当初の3倍となりました。
 このような状況から私は、将来を考え、法人化をしようと考えました。しかし、結果としてそれは叶いませんでした。なぜなら、私は医療法人化に都道府県の認可が必要であると知らなかったからです。私は株式会社を設立する場合と同様に定款を作成し、登記のため準備を進めておりましたが、知人に都道府県の認可が必要であるという旨の指摘を受けたときには、今年度の医療法人の設立認可申請書の提出期限が既に過ぎていて間に合わなかったのです。来年度私が滞りなく医療法人化するために必要なことを教えてください。

<解説>
届出制と勘違いしていらっしゃいましたが、医療法人設立は、実は都道府県の認可制を採用しています。そして都道府県は届出後いつでも認可が下ろすわけではありません。一般的には、年に2回(自治体によっては3回)の受付期間中に申請することができますが、この受付期間外の申請はできないということです。

正しい対応のポイント
1)医療法人設立は計画的に。
2)医療法人設立認可の年間計画は、都道府県の保健局のホームページに掲載されていますので閲覧しておきましょう。
3)年に2回の申請期間前に設立説明会を行う都道府県もありますので、その場合は設立説明会に参加し、申請書類の種類とその作成方法について、理解を深めておきましょう。
4)半年程の期間が、仮申請後、審査を経るなどして、実際に認可を受け法人としての診療活動を開始するまでに要することになります。

[税法等の解説]
医療法人設立の認可申請手続き
① 医療法人設立認可申請手続の対象は、医療法人設立を予定する者のみです。
② 医療法人設立認可を受けるため、提出書類、受付方法の理解を十分に深めておかなければなりません。

設立認可までの大まかな流れ(東京都を例に)
 9月の初めに申請仮受付期間が設けられ、以降、同年の12月までが設立認可審査期間となっています。
 設立認可申請書の本申請を行った後、翌年の1月末に医療審議会での諮問および答申を経ます。そして、遂に、2月中旬から下旬に『設立認可書』が交付されるのです。
 設立申請から認可までには、5~6ヶ月の期間を要することとなるでしょう。

申請書仮受付の書類
 医療法人設立認可申請書として必須の書類は、次ページに挙げる書類です。
 申請書仮受付の書類一式は郵送、あるいは直接持込みにて提出してください。
 なお、提出書類には決して押印をしないでください。そして、謄本や印鑑証明等は原本ではなくコピーを添付する点にも十分注意を払ってください。
 受付は、上記の方法によってのみ、受理されます。

申請に必要な費用
 申請と認可には手数料が発生しません。

申請にかかわる質問(東京都を例に)
 質問の受付方法はファクシミリのみです。電話では受け付けていません。ただし質問の対応は都道府県によって異なりますから、それぞれのホームページ等での指示に従い質問をしてください。

医療法人設立認可書類一覧(平成24年東京都の場合)
項目 様式 注意事項
医療法人設立認可申請書 1 日付は東京都が指定した日
定款(寄附行為)
設立総会議事録 2 仮受付より以前の開催日付
財産目録 3 基準日あり
財産目録明細書 4 基準日あり
不動産鑑定評価書 不動産を拠出する場合
減価償却計算書 5 基準日あり
基金に関する書類 6-1~4 基金制度を採用する場合
預金残高証明書 発行日から3ヶ月以内のもの
負債内訳書 7-1、2 基準日あり
負債説明資料 8
負債根拠資料 (例)工事請負契約書、領収書等
債務引継承認願 9-1~3
リース物件一覧表 10 物件名、数量、業者名簿等を記載
リース契約書(写し) 現行のものの写し
リース引継承認願 11
役員・社員名簿 12 基準日あり
履歴書 13 設立総会の日付
印鑑証明 できるだけ新しいもの
委任状 14 設立総会の日付
役員就任承諾書 15 設立総会の日付
管理者就任承諾書 16 設立総会の日付
管理者医師免許証(写し) 原寸大
理事長医師免許証(写し) 原寸大
理事医師免許証(写し) 原寸大
医療施設の概要 17
周辺の概略図 最寄駅等、交通経路を表示する
建物平面図 1/100,1/200程度のもの
不動産賃貸借契約書(写し) 現行のものの写し
賃貸借契約引継承認書(覚書) 18
土地・建物登記事項証明書 契約の目的物となっている建物等
事業計画書(2ヵ年又は3ヵ年)20 
予算書 21
予算明細書
職員給与費の内訳書
実績表(2年分) 24 設立場所における実績が浅い場合(確定申告の場合等)は直近までの試算表を添付すること
確定申告(2年分) 申告受領印付の写し全部(付表を含む)
診療所の開設届けの写し 個人診療所の開設実績のある場合
※拠出(寄附)申込書の添付は不要です。

個人で2年以上、現在の診療所を開設している場合に開設する医療法人は、
・様式14の『委任状』
・様式20の『設立後2年間の事業計画』
・様式21~23の設立後2年間の予算書
の提出を省略することが可能となっています。
なお、上記の場合の診療所は医師・歯科医師が常に1人または2人勤務している診療所を指していますので注意してください。
また、黒字確定申告書を過去2年分、添付可能となっています。ただし医療法人設立後2年間において事業変更がない場合です。

税理士からのPOINT!
 認可制となっている医療法人化は、申請時期があらかじめ定められています。そのため医療法人設立に際しては、申請時期を確認することが非常に重要です。

運営会社について教えてください

運営会社は辻・本郷税理士法人秋田支部です。

辻・本郷税理士法人秋田支部

所長:小松 悟
電話番号:018-862-3019
FAX:018-862-3944
事務所住所:〒010-0954 秋田県秋田市山王沼田町6-34
JR/「秋田」駅から車で20分

辻・本郷 税理士法人

平成14年4月設立。全体のスタッフは650名(関連グループ会社を含む)。医療、税務コンサルティング、相続、事業承継、M&A、企業再生、公益法人、移転価格、国際税務など各税務分野別に専門特化したプロ集団です。弁護士、不動産鑑定士、司法書士との連携により顧客の立場に立ったワンストップサービスとあらゆるニーズに応える総合力で5000社超のお客様とお付き合いさせていただいています。

会社名 辻・本郷 税理士法人
設立 平成14年4月1日
住所 〒163-0631 東京都新宿区西新宿1-25-1 新宿センタービル 31階
TEL/FAX 03-5323-3301(代) / 03-5323-3302
代表者 本郷孔洋
役員
理事長 本郷孔洋
副理事長 徳田孝司
常務理事 藤田裕
木村信夫
   
理事 楮原達也
酒井啓二
小山内好毅
宮村百合子
サービス 法人税務顧問サービス
税務セカンドオピニオン
事業承継(事業継承)・相続
事業再生・企業再生・M&A
事業再編
人事・財務・経理アウトソーシング
小規模事業者向け仕訳・記帳・申告サービス(経理宅配便(R))
IT支援コンサルティング
会計税務セミナー企画・開催・講師派遣
相続税対策・申告サービス
会社設立支援
海外進出時の支援
国際税務顧問サービス
移転価格コンサルティング
医院(クリニック)開業支援サポート
医療法人設立サポート
医療法人向け事業継承サポート
医療法人向け会計・税務サポート
歯科医院向け仕訳・記帳・申告サービス(歯科・経理宅配便)
ドクター向け確定申告サービス(確定申告宅配便)
医療事業部へのお問い合わせ
社会医療法人・特定医療法人移行サポート
公益法人・一般法人税務顧問
社会福祉法人コンサルティング
新地方公会計制度導入支援
新地方公営企業会計制度導入支援
固定資産台帳(公会計管理台帳)整備支援
自治体向け勉強会・セミナー並びにコンサルティング
その他のラインナップ
環境コンサルティング(太陽光発電関連サービス)
全国支部
青森支部【青森県】
  • 〒030-0861 青森県青森市長島2-13-1 AQUA青森スクエアビル4階
  • TEL:017-777-8581 / FAX:017-721-6781
八戸支部【青森県】
  • 〒031-0072 青森県八戸市城下4-25-5
  • TEL:0178-45-1131 / FAX:0178-45-5160
秋田支部【秋田県】
  • 〒010-0954 秋田県秋田市山王沼田町6-34
  • TEL:018-862-3019 / FAX:018-862-3944
盛岡支部【岩手県】
  • 〒020-0021 岩手県盛岡市中央通2-11-18 明治中央通ビル5階
  • TEL:019-604- 6868 / FAX:019-604-6866
遠野支部(遠野相続センター)【岩手県】
  • 〒028-0542 岩手県遠野市早瀬町2-4-21 遠野公文会館2階
  • TEL:0198-63-1313 / FAX:0198-63-1317
一関支部(一関相続センター)【岩手県】
  • 〒021-0031 岩手県一関市青葉1-6-4 シャトレー壱號館 204号室
  • TEL:0191-31-5271 / FAX:0191-31-5275
仙台支部【宮城県】
  • 〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町1-11-9 仙台リエゾン2階
  • TEL:022-263-7741 / FAX:022-263-7742
新潟支部【新潟県】
  • 〒950-0087 新潟県新潟市中央区東大通2-3-28 パーク新潟東大通ビル5階
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上越支部【新潟県】
  • 〒943-0892 新潟県上越市寺町3-8-8
  • TEL:025-524-3239 / FAX:025-524-3187
館林支部【群馬県】
  • 〒374-0025 群馬県館林市緑町2-24-8
  • TEL:0276-72-0917 / FAX:0276-72-0927
大宮支部(大宮相続センター)【埼玉県】
  • 〒330-0854 埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-7-5 ソニックシティビル17階
  • TEL:048-650-5211 / FAX:048-650-5212
川口支部(川口相続センター)【埼玉県】
  • 〒333-0841 埼玉県川口市前川町2-1754
  • TEL:048-268-0633 / FAX:048-268-0692
吉祥寺支部(吉祥寺相続センター)【東京都 武蔵野市】
  • 〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-14-5 吉祥寺本町ビル7階
  • TEL:0422-28-5515 / FAX:0422-28-5516
渋谷支部(渋谷相続センター)【東京都渋谷区】
  • 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-15-1 渋谷クロスタワー13階
  • TEL:03-6418-6761 / FAX:03-6418-6762
横浜支部【神奈川県】
  • 〒220-0004 神奈川県横浜市西区北幸1-11-11 NOF横浜西口ビル4階
  • TEL:045-328-1557 / FAX:045-328-1558
湘南支部(湘南相続センター)【神奈川県】
  • 〒251-0052 神奈川県藤沢市藤沢496 藤沢森井ビル6階
  • TEL:0466-55-0012 / FAX:0466-55-0032
小田原支部【神奈川県】
  • 〒250-0011 神奈川県小田原市栄町1-8-1 Y&Yビル6階
  • TEL:0465-40-2100 / FAX:0465-40-2101
伊東支部【静岡県 東部】
  • 〒414-0002 静岡県伊東市湯川1-3-3 上條ビル5階
  • TEL:0557-37-6706 / FAX:0557-37-8988
名古屋支部【愛知県】
  • 〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄4-2-29 名古屋広小路プレイス7階
  • TEL:052-269-0712 / FAX:052-269-0713
四日市支部【三重県】
  • 〒510-0822 三重県四日市市芝田1-3-23
  • TEL:059-352-7622 / FAX:059-351-2988
京都支部【京都府】
  • 〒600-8009 京都府京都市下京区四条通室町東入 函谷鉾町79番地
    ヤサカ四条烏丸ビル6階
  • TEL:075-255-2538 / FAX:075-255-2539
大阪支部【大阪府】
  • 〒541-0045 大阪府大阪市中央区道修町4-6-5 淀屋橋サウスビル6階
  • TEL:06-6227-0011 / FAX:06-6227-0063
岡山支部(岡山相続センター)【岡山県】
  • 〒700-0815 岡山県岡山市北区野田屋町1-1-15 岡山桃太郎大通りビル7階
  • TEL:086-226-8555 / FAX:086-226-8556
広島支部【広島県】
  • 〒730-0051 広島県広島市中区大手町2-11-2 グランドビル大手町9階
  • TEL:082-228-8220 / FAX:082-223-2188
福岡支部【福岡県】
  • 〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神1-3-38 天神121ビル6階
  • TEL:092-715-6901 / FAX:092-715-6902
大分支部【大分県】
  • 〒870-0035 大分県大分市中央町1-1-3 朝日生命大分ビル4階
  • TEL:097-532-2748 / FAX:097-538-7006
沖縄支部【沖縄県】
  • 〒900-0006 沖縄県那覇市おもろまち4-19-14 八重洲第7ビル5階
  • TEL:098-941-3230 / FAX:098-941-3231
グループ会社
辻・本郷 ビジネスコンサルティング株式会社
  • 事業再生・企業再生コンサルティング業務
  • M&Aアドバイザリーサービス業務
  • 事業再編コンサルティング業務
  • 事業承継コンサルティング業務
CSアカウンティング株式会社
  • 会計アウトソーシング業務
  • 会計人事コンサルティング業務
株式会社アルファステップ
  • 不動産に関する業務
  • 生命保険及び損害保険に関する業務
株式会社総務部本郷

有限会社 人と組織の研究所

相続に関して、基金拠出型医療法人のメリット

基金拠出型医療法人に拠出した財産については、一定の要件を満たせは拠出した財産に相当する額の返還を受けることが可能です。この返還を受けることができる基金は、相続税の課税対象となります。
しかし、拠出した以上に医療法人の財産価値が増加したとしても、財産の評価は設立当初の金額とされますので、基金拠出型医療法人の場合、相続が円滑に進めやすいといえるでしょう。

 一方、持分の定めのある社団医療法人(経過措置型医療法人)の場合、出資持分が相続税の対象財産となります。医療法人の出資持分の相続税評価額が高額になっている場合には、相続対策が必要となってきます。

基金拠出型医療法人の解散時の残余財産について

社員総会の決議等により解散となった場合について、旧来の社団医療法人の定款には、「本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額に応じて分配するものとする。」等の文言が入っていて、出資額に応じた財産の分配等が認められていました。

 一方、基金拠出型医療法人の場合、解散時における残余財産の帰属先は、
・国
・地方公共団体
・医療法第31条に定める公的医療機関の開設者
・都道府県医師会又は郡市区医師会
・財団医療法人又は社団医療法人であって持分の定めのないもの
のうちから選定されるようにしなければなりません(医療法第44条第5項)。拠出者には、基金以上の金額は返還されません。

 残余財産の分配を認めてしまうと、利益が出た法人を意図的に解散させて利益を分配するということも起こり得ることから、第5次医療法改正では、医療法人の根本にある「非営利性」を基に、国等に残余財産を帰属させることにしたのです。

 したがって、後継者が決まっていない医療法人では、高額な設備投資や資産の購入は計画性をもって検討する必要があります。

 なお、改正医療法の施行日(平成19年4月1日)前に設立され若しくは設立認可申請をした医療法人については、残余財産の処分について経過措置が規定されていて、旧来の方式のままでいいことになっています。

基金拠出型医療法人の範囲

1.基金制度を採用できる医療法人
 基金拠出型医療法人とは、平成19年4月1日以後に採用が可能となった「基金」の制度を採用した医療法人のことをいいます(医療法施行規則第30条の37第1項)。基金の拠出を受けて運営される医療法人です。
基金制度を採用できるのは、社会医療法人・特定医療法人以外の持分の定めのない社団医療法人のみであり(医療法施行規則第30条の37第1項)、基金制度を採用しない場合は、「持分の定めのない社団法人(基金なし)」に区分されることとなります。持分の定めのある社団医療法人や財団医療法人はもちろんのこと、社会医療法人や特定医療法人も、基金制度を採用することができません。

2.基金制度の趣旨
 基金とは、医療法人の財産として拠出されるもので、法人運営のための原資となるもののことです。具体的には、金銭のほか、土地・建物・診療設備等、医療法人を設立するために拠出したものを、基金といいます(医療法施行規則第30条の37第1項)。
基金制度は、「剰余金の分配を目的としない性格を維持しながら、活動の原資となる資金を調達し、財産的基礎の維持を図るための制度」といわれています。

3.基金の返還義務
 基金制度を採用する場合には、基金の拠出者に関する規定や基金の返還の手続きを、定款で定めなければならないと定められています(医療法施行規則第30条の37第1項)。基金拠出型医療法人は、拠出者に対して、定款で定めるところに従い、返還義務を負うことになります。金銭以外の財産を基金として拠出した場合には、拠出時のその財産の価格に相当する金銭での返還義務が生じるとされています(医療法施行規則第30条の37第1項)。
 なお、基金の返還に係る債権には、利息を付すことができないと規定されています(医療法施行規則第30条の37第2項)。

4.代替基金
 基金の返還をする場合、当初の基金に相当する金額を「代替基金」として計上して、返還後も基金の総額が目減りしないようにしなければなりません(医療法施行規則第30条の38第3項)。例えば、当初の純資産(基金部部分のみ)が100あったとすると、基金返還時に代替基金として追加で100計上し、純資産が最低でも200なければ返還することはできません。
 代替基金は、基金が返還されても基金の総額が減少しないように設けられた制度なので、任意に取り崩すことはできないとされています(医療法施行規則第30条の38第4項)。

5.基金の返還時期
基金を返還する場合は、定時社員総会の決議によって行わなければなりません(医療法施行規則第30条の38第1項)。
ある会計年度に係る貸借対照表の純資産額が次に掲げる金額の合計額を超える場合、その会計年度の次の会計年度の決算の決定に関する定時社員総会の日の前日までの間に限り、その超過額を返還の総額の限度として返還をすることができると規定されています(医療法施行規則第30条の38第2項)。
・基金(代替基金を含む)の総額
・資産につき時価を基準として評価を行っている場合において、その時価の総額がその取得価額の総額を超えるときは、時価を基準として評価を行ったことにより増加した貸借対照表上の純資産額
・資本剰余金の価額

新法の医療法人と経過型医療法人との違い

新法の医療法人は、改正医療法の施行日(平成19年4月1日)前に設立され若しくは設立認可申請をした経過措置型医療法人とは、退社時の出資持分払い戻し請求権や解散時の残余財産の帰属先について、大きく違います。具体的には次の通りです。

1.社員資格喪失時の出資持分払い戻し請求
 経過措置型法人の場合、その法人の定款には、社員資格喪失時の出資持分払い戻し請求について、
(1)持分の定めのある医療法人では、
社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払い戻しを請求することができる。
(2)出資額限度法人では、
 社員資格を喪失した者は、その出資額を限度として払い戻しを請求することができる。
というような規定が設けられています。

 一方、新法の社団医療法人の場合、その法人の定款に、このような規定はなく、退社時の出資持分払い戻し請求は不可能となっています。

2.解散時の残余財産処分
経過措置型医療法人の場合、その法人の定款には、解散時の残余財産処分について、
(1)持分の定めのある医療法人では、
  本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額に応じて分配するものとする。
(2)出資額限度法人では、
  本社団が解散した場合の残余財産は、払込済出資額を限度として分配するものとし、当該払込済
資額を控除してなお残余があるときは、社員総会の議決により、○○県知事(厚生労働大臣)の認可
を得て処分するものとする。
というような規定が設けられています。

また、財団医療法人で、その法人の寄付行為に、解散時の残余財産処分に関し、
 本財団が解散した場合の残余財産は、理事会及び評議員会の議決を経、かつ、○○県知事(厚生労働大臣)の認可を得て処分するものとする。
というように定められているのであれば、この法人も新法の医療法人とは呼べないでしょう。

 一方、新法の医療法人の場合、定款又は寄付行為に、解散時の残余財産処分について、次のような
規定が設けられています。
本社団(又は財団)が解散した場合の残余財産は、次の者から選定して帰属させるものとする。
・国
・地方公共団体
・医療法第31条に定める公的医療機関の開設者
・都道府県医師会又は郡市区医師会
・財団医療法人又は社団医療法人であって持分の定めのないもの

決算において作成する閲覧可能書類

1.事業報告書等の作成
 医療法第51条第1項には、「医療法人は、毎会計年度終了後2ヶ月以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、その他厚生労働省令で定める書類(以下「事業報告書等」という)を作成しなければならない。」と規定されています。旧医療法においては、財産目録・貸借対照表・損益計算書が法定の書類でしたが、医療法人の運営の透明性の確保を図るという観点から、医療法改正により、事業報告書の作成が新たに義務付けられたのです。
 作成された事業報告書等は、理事から監事に提出され(医療法第51条第2項)、監事の監査を受けて、監事は監査報告書を作成することとされています(医療法第46条の4第7項第3号)。

2.各事業所での閲覧
医療法第51条の2第1項には、「医療法人(社会医療法人を除く)は、次に掲げる書類を各事務所に備えて置き、その社員若しくは評議員又は債権者から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。」と規定されています。
(1)事業報告書等
(2)監事の監査報告書
(3)定款又は寄付行為
 これらの書類の閲覧を行わないことができる「正当な理由」としては、個人情報の保護の場合や法人の業務の運営が不当に害される恐れがある場合、法人の執務時間外の閲覧請求等が該当するでしょう。

3.都道府県での閲覧
 医療法人(社会医療法人を除く)は、毎会計年度終了後3ヶ月以内に、事業報告書等、監事の監査報告書を都道府県知事に届け出なければならないと定められています(医療法第52条第1項)。
 都道府県知事は、届け出されたこれらの書類と定款又は寄付行為について、請求があった場合には、これを閲覧に供しなければならないとされています(医療法第52条第2項)。したがって、債権者等のほか、一般の者も閲覧可能であり、正当な理由があるか否かを問わず、閲覧に供しなければなりません。
 都道府県でのこれらの書類の閲覧において対象となるのは、過去3年間に届け出されたものです(医療法施行規則第33条の2第2項)。

 決算において作成する書類及びこれらの書類の閲覧については、このように定められています。なお、医療法人の各事務所において書類の備え付けを怠った場合や都道府県知事に届出をしなかった場合等には、20万円以下の過料に処せられることとなります(医療法第76条第3・4項)。

医療法人が行うことのできる附帯業務

医療法には、「病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができる。」と規定されています(医療法第39条第1項)。したがって、「病院、診療所又は介護老人保健施設の運営」が、医療法人の「本来業務」ということになります。

一方、医療法には、次のような規定も存在します(医療法第42条)。
医療法人は、その開設する病院、診療所又は介護老人保健施設の業務に支障のない限り、定款又は寄附行為の定めるところにより、次に掲げる業務の全部又は一部を行うことができる。
1.医療関係者の養成又は再教育
2.医学又は歯学に関する研究所の設置
3.第39条第1項に規定する診療所以外の診療所の開設
4.疾病予防のために有酸素運動(継続的に酸素を摂取して全身持久力に関する生理機能の維持又は回復のために行う身体の運動をいう)を行わせる施設であって、診療所が附置され、かつ、その職員、設備及び運営方法が厚生労働大臣の定める基準に適合するものの設置
5.疾病予防のために温泉を利用させる施設であって、有酸素運動を行う場所を有し、かつ、その職員、設備及び運営方法が厚生労働大臣の定める基準に適合するものの設置
6.前各号に掲げるもののほか、保健衛生に関する業務
7.社会福祉法第2条第2項及び第3項に掲げる事業のうち厚生労働大臣が定めるものの実施
8.老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホームの設置

この規定によって医療法人が行うことのできる業務を「附帯業務」といいます。
ただし、附帯業務については、委託すること、又は本来業務を行わず、附帯業務のみを行うことは、医療法人の運営上、不適当であるとされています。

 例えば、看護師・理学療法士・作業療法士・柔道整復師等の養成所の経営(上記1)、例えばへき地診療所のような医師又は歯科医師が常時勤務していない診療所等を経営すること(上記3)が、附帯業務に該当します。
 上記6の業務は、保健衛生上の観点から行政庁が行う規制の対象となる業務の全てをいうのではなく、直接国民の保健衛生の向上を主たる目的として行われる、次のような業務であるとされています。
・薬局
・施術所(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律、柔道整復師法に規定するもの)
・介護福祉士養成施設(社会福祉士及び介護福祉士法に規定するもの)
・ホームヘルパー養成研修事業(地方公共団体の指定を受けて実施するもの)
・難病患者等居宅生活支援事業(地方公共団体の委託を受けて実施するもの)
・病児・病後児保育事業(地方公共団体の委託又は補助を受けて実施するもの)    等
 

役員に関する制度の見直しのポイントを教えてください。

第5次医療法改正では、役員に関する制度が見直されました。医療法人の内部管理体制の明確化を通じて効率的な医業経営を図るためです。
・役員(理事・監事)の任期
・監事の職務
・役員の補充
については、具体的には次のように変更されました。

1.役員(理事・監事)の任期
 旧医療法では、役員の任期は明確には決められていませんでした。モデル定款では「役員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。」と定められ、多くの医療法人がこの規定通りにしていました。   
第5次医療法改正により、同法第46条の2第3項に「役員の任期は、2年を超えることはできない。ただし、再任を妨げない。」と、正式に明文化されました。

2.監事の職務
 医療法人を監査する重要な機関である監事の職務について、旧医療法では民法第59条の規定を準用するにとどまっていましたが、この改正では、監事の職務が明記されました。監事の職務内容を明確化することによって経営基盤の強化を図り、その提供する医療の質の向上及びその運営の透明性の確保を強化するために、このような改正が行われたものと考えられます。

具体的には、旧民法第59条では、医療法改正前の監事の職務内容は、次の通りとされていました。
(1)法人の財産の状況を監査すること。
(2)理事の業務の執行の状況を監査すること。
(3)財産の状況又は業務の執行について、法令、定款若しくは寄附行為に違反し、又は著しく不当な
事項があると認めるときは、総会又は主務官庁に報告をすること。
(4)(3)の報告をするため必要があるときは、総会を招集すること。
 
医療法改正により、同法第46条の4第7項に、監事の職務内容が次の通り明記されました。
(1)医療法人の業務を監査すること。
(2)医療法人の財産の状況を監査すること。
(3)医療法人の業務又は財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成し、当該会計年度終了   
後3ヶ月以内に社員総会又は理事に提出すること。
(4)(1)又は(2)の規定による監査の結果、医療法人の業務又は財産に関し不正の行為又は法令若しくは定款若しくは寄付行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを都道府県知事又は社員総会若しくは評議員会に報告すること。
(5)社団たる医療法人の監事にあっては、(4)の報告をするために必要があるときは、社員総会を招集すること。
(6)財団たる医療法人の監事にあっては、(4)の報告をするために必要があるときは、理事長に対して評議員会の招集を請求すること。
(7)医療法人の業務又は財産の状況について、理事に対して意見を述べること。

3.役員の補充
 理事又は監事のうち、その定数の5分の1を超える者が欠けたときは、1ヶ月以内に補充しなければならないと規定されました(医療法第48条の